「鬼灯の冷徹」に流れる日立の樹から「黒子のバスケ」の男前キャラソンまでーー2014年冬のアニソン(後編)

2014年1月から3月までのアニメソングをオタクな妻との対談形式で振り返る記事の後編です。

(⇒前篇はこちら) 

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アニメ「鬼灯の冷徹」に流れる日立の樹、キャラソンファンからみた佐村河内守

私:その他にこの冬の印象的な作品を挙げるとすると、何でしょうか?

 

妻:アニメ「鬼灯の冷徹」のアニソンは良かったよね。

 

私:オープニングテーマの「地獄の沙汰も君次第」は地獄の名称を並べた独特なノリの曲が良かったですね。あれはYOUR SOUND IS GOODっていうオルガンインストバンドの方の作曲らしいです。

 

妻:エンディングテーマの上坂すみれの曲は大槻ケンヂ作詞だったし、けっこうマニアックな音楽だったよね。

しかし、私はなにより第一話のエンディングテーマ「大きな金魚の樹の下で」を挙げたいね。まさか「日立の樹」のパロディで来るとは。 

 

私:「日立の樹」といえば小林亜星さんの作曲ですが、企業PRソングを元ネタにキャラソンを作るという、あの発想は素晴らしかったですね。

作品を彩る不気味な「金魚草」を歌った脱力系の歌詞と、「日立の樹」の融合した名曲でしたね。「この木なんの木、気になる木」のかわりに「あの草なんだか喋れそう」ですからね。

 

妻:まあ、あの曲は日立の歌である以前に、日本人の心に刻まれた名曲だからね。まあ、そういう意味では、改めて小林亜星さんの偉大さを思い知ったね。

 

私:小林亜星さんといえば自分の楽曲を剽窃されたとして裁判で争った「記念樹事件」というのがあったそうですが、あの曲は大丈夫なんですかね。

 

妻:まさかの「金魚草事件」として、キャラソンにおける元ネタの「編曲」は許されるのかを裁判所で争う展開になるのかな。

 

私:そういえば、アニソンから話はズレるんですが、この冬には佐村河内守氏のいわゆる「偽ベートーヴェン」事件がありましたよね。

あれも音楽ファンとして色々と考えさせられるものがある事件でした。

 

妻:クラシック音楽の世界で名を知られる存在であったらしい新垣隆氏が、あらゆることがやり尽くされてしまっているクラシック音楽の世界で、佐村河内氏のキャラクターを借りて、ベタなエンタメ音楽としてのクラシック楽曲を作ってきたというのは興味深いよね。

 

私:アニソンやキャラソンって、それこそやり尽くされてきたジャンルの音楽を、作品やキャラにあわせてどう使っていくのかっていくのかって面が大きいですもんね。

創作におけるオリジナリティってなんなんだろうと改めて考えさせられる話ですよね。

 

妻:そういう意味では、新垣さんってアニソン界に欲しい才能よね。

 

私:そうですね。そして、もちろん色々と問題はあるんでしょうが、「佐村河内守」という存在は、このキャラクターソング全盛期において、「作曲家がキャラクター化する」という新たなあり方を示してみせたという観点で捉えると、なかなか興味深いと思いますね。

 

 

黒子のバスケ」の男前キャラソンから女の子同士でキスする特別な関係まで

私:その他の、この冬の印象的な作品を振り返りたいと思います。

アニメ「黒子のバスケ」については、この冬は、GRANRODEOによる「変幻自在のマジカルスター」がオープニングテーマで、R・O・Nさんの作曲を手がける黒子の声優・小野賢章さんのキャラソンFANTASTIC TUNE」がエンディングテーマでしたね。

変幻自在のマジカルスター

変幻自在のマジカルスター

FANTASTIC TUNE

FANTASTIC TUNE

 

妻:谷山紀章の歌、飯塚昌明の曲によるGRANRODEOはもうアイソン界の大御所といっていいけれど、黒子のバスケでは作曲家、R・O・Nさんの活躍が目立ったね。

 

私:R・O・Nさんが作曲を手がける声優・鈴木達央さんをボーカルに据えたバンド、OLDCODEXも、GRANRODEOに続く声優発の男前ロックバンドとして活躍していきそうですよね。

 

妻:黒子のバスケは、主題歌だけじゃなくて、けっこうキャラソンも粒ぞろいで、私は一期ものも含めてけっこう聴いていたのよね。デュエット曲の「次会う日まで」とか、キャラごとに歌が出ている「セイシュンTIP-OFF」とか。

 

私:黒子のバスケは、男前なキャラソンの見本市みたいになってますよね。

私はこの冬では、劇的な結末で話題をさらったアニメ「魔法戦争」の主題歌「閃光のプリズナー」が良かったですね。

閃光のPRISONER

閃光のPRISONER

 

妻:ストーリーを書いたはずの脚本家がオンエアを見て、その結末になぜか衝撃を受けているというのがネットで話題になっていたよね。

 

私:あの結末の投げ出しっぷりはすごかったですね。「プリズナー」ってあの展開によって作品世界に置いてけぼりにされた我々の事だったのかと思いました。

 

妻:あの曲はElements Gardenの若手、母里治樹さんの作曲よね。

 

私:母里治樹さんってまだ曲は少ないんですが、水樹奈々の「Silent Bible」とかうたプリの「DOUBLE WISH」とかハズレがないんですよね。Elements Gardenの新たな才能として今後も期待できる存在ですよね。

 

妻:冬アニメで忘れてはいけないのは、アニメ「桜Trick」のオープニングテーマ「Won(*3*)Chu KissMe!」だね。

Won(*3*)Chu Kiss Me!

Won(*3*)Chu Kiss Me!

 

私:女の子同士でキスする特別な関係を描いたなんだかすごいアニメでしたね。甘酸っぱい青春を感じさせる名曲になっていましたね。

 

妻:私はあの曲を聴くと、なんだかアニメ「ネギま!」の「ハッピー☆マテリアル」を思い出すのよね。

 

私:「桜Trick」は、「兄妹で恋愛しないと死んじゃう!?」というエロ路線のアニメ「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。」と並んで、なんだか日本ってすごいなと思わせる作品でしたね。

さて、冬アニメについてはこの辺りにして、膨大な作品数の春アニメの世界に戻りたいと思いますよ。