戦姫絶唱シンフォギアの「逆光のフリューゲル」は時代を越える名曲だったーー2012年冬のアニソン②

2012年1月から3月のアニメソングをオタクな妻との対談形式で振り返ります。

今回は3つに分割しており、この記事は<2/3>になります。

 

戦姫絶唱シンフォギアの「逆光のフリューゲル」は時代を越える名曲だった

私:そして今期アニメの中で、事前の我々の期待がものすごく大きかったのが、昨年「うたのプリンスさまっ」で我々の心を鷲掴みにした作曲家、上松範康さんが原作を手がけたアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」ですね。

 

妻:あのアニメは、正直見るのが苦痛だったよ。演出がなんだ古臭くてね。変身シーンとか必殺技の演出なんかに20年くらい前のアニメの雰囲気が漂っていたよ。

 

私;私は、あのちょっとレトロで残念なアニメの方向性を決めたのは、水樹奈々高山みなみの歌う「逆光のフリューゲル」だったんじゃないかと思っているんですよ。

 

 

妻:というと? 確かにあの曲は良かったけれど。

 

私:上松さんと水樹奈々さんのコンビによる楽曲って、もともとレトロ志向というか歌謡曲みたいになっていくじゃないですか。

 

妻:たしかに「深愛」とか歌謡曲そのものだもんね。やっぱり歌唱力がありすぎる水樹奈々の魅力を引き出そうとするとそうなるのかな。

 

私:「深愛」は21世紀最高の歌謡曲ですよね。まあ、元々そんな傾向のある上松さん&水樹奈々さんのコンビが、高山みなみさんに出会って、あの「逆光のフリューゲル」が生まれたんですよ。そんなデュエットが21世紀にとどまることができるはずがないじゃないですか。

 

妻:私もあの曲を聞いた時に、かつて一世を風靡したTWO-MIXの再来を感じたね。

 

私:ですね。そんな二人からあの90年代のアニメソングを彷彿とさせる名曲が生まれたのはいわば必然だったと思うんですが、そのことが劇中で、あの曲が現代の超人気アイドルユニットとしてあの曲を歌うという設定との間でかなりの無理を生じさせてしまったんですよ。

 

妻:たしかに、あの曲が名曲なのは間違いないけれど、人気絶頂のアイドルの歌だという設定には全然説得力がない楽曲だったよね。

 

私:そう、それなのにあの一話で二人があの名曲を高らか歌いあげてしまったことで、作品の時間軸が歪み、作品世界全体があの楽曲にふさわしい時代にタイムスリップしてしまったのだと私は思っているんですよ。

 

妻:それによって20世紀的な世界が構築され、あの古臭い演出につながったと。

 

私:そうです。あの名曲が生まれてしまったがための悲劇だったと私は解釈していますね。そういう意味で「逆光のフリューゲル」は、「前世紀へ逆行する翼」だったのではないかと思うんですよ。

 

妻:なんか上手いこと言ったつもりになってる…。まあ、妄想だよね。

 

私:そうですね…。まあそんな妄想を抱かせるほどに時代を超える素晴らしい名曲だったということで。

 

杉田智和の最高傑作「SM判定フォーラム」を作ったキャラソン界の新星

妻:今期、キャラソンとして最も楽しめたアニメは「妖狐×僕SS」だったね。

 

私:最初にアニメの公式サイトで全キャラソンの曲名と歌手が発表されたんですよね。その中で、ひときわ異彩を放っていたのが、杉田智和が歌うという「SM判定フォーラム」でしたよね。

SM判定フォーラム -TV Size Version -(妖狐×僕SS 5)

SM判定フォーラム -TV Size Version -(妖狐×僕SS 5)

 

妻:あのタイトルだけでインパクトは満点だったよね。杉田に何を歌わせるつもりだと。

 

私:それで待ちに待った第五話のエンディング…。すごかったですね。

 

妻:うん。すごかった…。音楽といい、映像といい、あれほどに何かが凝縮されたエンディングは初めてだった。

 

私:すべて声優、スタッフから制作会社までがSとMに分別されていく映像は壮観でしたね。そしてテレビで「肉便器」って連呼するのは、デトロイト・メタル・シティクラウザーさん以来です。

 

妻:言っちゃいけない言葉をあれほど隠さないピストル音も珍しいよ。そして、あんなにうれしそうに歌うの杉田を見るのも初めてだった。去年の杉田の名曲「妄想戦士 宮前かなこ」を超えてきたね。

 

私:本当にいきいきしてましたよね。杉田さんが歌うキャラソンでこれまでの最高傑作であることは間違いないですね。杉田の魅力を余すところなく完璧に活かした楽曲でした。

また、花澤香菜の歌う「Sweet Parade」も良かったですよね。「猫耳モード」を彷彿とさせるほんわかした電波ソング花澤香菜につぶやかせてくるとはやりますね。

sweets parade -TV Size Version -(妖狐×僕SS 5)

sweets parade -TV Size Version -(妖狐×僕SS 5)

 

妻:私は神前さんの花澤香菜曲「恋愛サーシミュレーション」を思い出したよ。へたうまなラップが花澤香菜の活かし方をすごくわかっているよね。

 

私:花澤香菜さんと杉田智和さんって、歌がそこまで上手いわけじゃないんでしょうけど、あの声の個性がキャラソンでも活きるんですよね。キャラソンの歌い手としてはすごく優秀だと思っています。

 

妻:そうだね。そして宮野真守の歌う「one way」も良かった。

one way -TV Size Version-1分30秒- (妖狐×僕SS 3)

one way -TV Size Version-1分30秒- (妖狐×僕SS 3)

 

私:宮野真守がまさしく一方的にナルシスティックに歌いあげる名曲ですね。あれもキャラをわかっていましたよね。

 

妻:キャラソンがとても丁寧に作られているのが印象的なアニメだったね。原作者の藤原ここあさんもがんばりすぎだし。

 

私:キャラソンへの並々ならぬ思い入れを感じました。そして、そんなキャラソン作曲のすべて手がけたのがCHI-MEYさんですよ。

 

妻:ノーマークだったね。

 

私:調べてみると、いろんな活躍をされている方のようですが、キャラソンは初めてだったみたいですね。

 

妻:それであの深くキャラを理解した楽曲を作ってくるとはね。

 

私:6つのキャラソンがそれぞれに全く別タイプの楽曲だったのもすごいですよね。これからの活躍にも期待しています。

 

キャラソンに別次元の可能性を拓いた初音ミク>に続く